IKEDA隊長コラムCOLUMN
「家づくり」で考えたこと(プランニング)(3件)
記事一覧へ家造りで考えたこと3/行灯の家
【家造りで考えたこと−3「行灯の家」】 2012年に竣工した「行灯の家」。東京の狛江市においては比較的大きな敷地の中での家づくりでした。 敷地の中には、桜の木の他、この地の歴史を刻み込むような木々が立ち並んでいます。代々のお庭を大事にしてきた経緯もあり、「行灯の家」は木々を残しながら、その景色を暮らしに取り込む事を大事に計画していきました。 また、太陽の恩恵も最大限受けられる立地ともあり、屋根面を大きく構え、太陽熱利用も取り入れたお住いです。 【太陽熱をふんだんに得る「片勾配屋根」に〜立地をいかす〜】 上の写真は東側からの外観になりますが、いわゆる「片勾配屋根」といって、南側から北側まで、屋根が一方方向に登っていく屋根形状に。 これは、太陽熱をふんだんに利用できる立地ゆえの計画。空気集熱式ソーラーを採用し、片勾配にすることで南側の熱や光の恩恵を受けるスペースを最大限広げられることができます。 でも、この形状はどこでも出来るわけでもなく、東京では特に北側敷地への日照確保のために高度斜線たる独自の厳しい日照権が設定されていて、中々このような屋根形状にすることは難しいんですね。「行灯の家」は敷地にゆとりがあることも、片勾配屋根を実現した要素の一つにもなるのですが、幸いにも北側にも道路があることで、法律の元、その幅員部分を利用しながら隣接地への日照確保を考慮し敷地内での建物配置とあわせ実現することができています。 ですから、このような外観スタイルは正しく立地の条件の賜物かもしれませんね。【歴史を刻む木々を残しながらの配置】 上の写真からも分かるように、建物の周り、敷地内には桜、梅、紅葉、ツツジの他沢山の木々が残っています。特に左側に大きく伸びる木が「桜」なんですね。 この歴史ある桜の木を切ってしまってはもったいないと、桜の木を交わしながら、建物が配置され、かつ、その景色をどの様に暮らしに織り込むかを大事に考えました。 【木々の位置を測る、把握する】 設計をすすめる上で大事なのが、木々の位置なんですね。ですから、「行灯の家」を計画する前には、木々それぞれの位置を測り、事前に把握した覚えが今でも記憶に新しいです。本数が多かったので大変でしたが・・・・・・笑 ですが、その位置を知ることで、豊かな暮らしに向けての最大の恩恵につながるのです。【木々やお庭と一体になる暮らし】 上の写真は室内から見た景色。キッチンや、リビングダイニングの他、至る所から先代から受け継ぎ、歴史を刻んできたお庭が目に入ります。中央の窓からはツツジやサツキが目に入り、右側の窓には、この地で高く伸びている「桜」の木が目に写ります。この時期は、葉や花がついていない時期の写真故、少しその恩恵が写しだせていませんが、意味合いはよく分かって頂けるかもしれませんね。【四季を楽しめる暮らし】 角度を変えてみると・・・どうでしょう、また違った形で景色を眺める事ができます。春には梅の木や桜に花が咲き、葉をつけ冬前には落葉します。紅葉は、秋には紅葉するなど、「こまえの家」のお庭をパノラマに取り込み、四季を感じより楽しく豊かな暮らしを送ることができるのです。 「行灯の家」はこのように、代々受け継いできたお庭、エコを大事にするお施主様のお考えも含めこのような暮らしある家になりました。 うちにはお庭がないし・・・と思われる方もいるかと思いますが、この考え方はお庭の大きい小さいだけでなく、自らがお庭とのあり方(スペース)を考える事で少しでも豊かなくらしに繋がるものです。ちょっとした考え方で暮らしの豊かさは微妙に変わるもの考えかただけは知っておきましょうね。! 家づくり学校1時間目では違った視点でもお話しています。→「家づくり学校他イベントページはこちら」 【最後に行灯の家とは?】 大半の窓袖には『障子』が引き込まれています。夜になると、カーテンではなく障子で締め切ります。岡庭の家は、自然素材が多く、カーテンよりも木と紙でできたた建具、『障子』の方がお似合いです。「行灯の家」の障子を締め切ると、また違った空間となり、夜になると、温かみのある明かりの色が障子を通し、まるで「行灯」のようにも見える。そのような意味合いから付けられたハウスネーミングです。 長年、一緒に暮らしているワンちゃんも昼はお庭で日向ぼっこ夜は、行灯の明かりをの中で心地よい暮らしをしています。思い出深い一枚の写真です。 「行灯の家」東京都狛江市→行灯の家の施工例に戻る ◯長期優良住宅認定◯構造材国産材利用◯設計・施工:岡庭建設 隊長
2017.09.18(月)
家造りで考えたこと-2/杉並区 あらいろの家
【家造りで考えたこと−2「あらいろの家」編です。】 「あらいろの家の家づくりで考えたこと」 ◯お庭を大事にされている住まい手様の暮らしを活かしリビングの窓は大きくする(樹脂サッシ) ・写真下:樹脂のサッシは窓が大きくなると窓の枠も大きくなるんですね。その召合せの所に柱を建てて、その枠を少しでも見えない工夫を施しています。 写真下 ↓ ◯癒やしのスペースでもある畳の間から地窓を通して庭を鑑賞できる工夫。窓が一枚の繪に。 ・岡庭の家造りで度々登場する癒やしの間。そして地窓。都会にいながらも地窓にすることで、あたかもリゾート地にいるかのような空間に様変わり。窓の位置と取り付け方により、人の居心地も併せて様変わりするものです。和室をつくるお宅は減ったといいますが、ちょっとした工夫で床に座る文化のある日本人の暮らしは更に豊かな場になるんですねー・・和室はいい場でもあります。 ・どうでしょう、住宅密集地でもこの様な景色を眺めることができます。 現在は緑が更に豊かになり、景色もより良い感じです!。 ◯この地と住まい方から生まれた配置計画と動線計画、そして中庭的空間との連なり。・趣味である庭いじりのスペースとビオトープ(竣工時にはありませんでしたが)の場。◯周辺環境の立地を活かし、必要とされるワークスペースからも緑を望めるように。 正しく、室内と外部を一体的につなげることを重要視した「あらいろの家」です。室内のつくりも、それぞれに工夫が ◯階段は楽しく上がれる工夫をと一部をストリップ階段として残りは収納に。通風性も高いですよ。 家具の様な階段であることで、階段の存在を軽くして室内と一体性を持たせます。 ◯「見る窓と、見ない窓」南側は、庭もを眺めますが、東側に車が駐車されています。車を見るための窓ならばよいですが、そうでなければ無意味な窓になり、開けることもなくなります。あえて東側は大きな窓とせず、小さな窓を取り付けています。その意味は・・・家づくり学校で学びましょう!。◯住宅の性能面他の特徴 ・長期優良住宅認定所得(耐震等級3)・太陽光発電約4キロ(最近でいうとゼロ・エネルギー住宅相当でもあります)・構造材は国産材を主として利用(多摩産材他) 他 以上が「家造りで考えたこと−2 /あらいろの家」でした。→「施工例ページ」 隊長
2017.08.18(金)
家造りで考えたこと-1「天地居〜西東京市〜」
【家造りで考えたこと−1「天地居」】→「天地居の施工例」 敷地は、やや広い街道面に面していて、周辺環境は3階以上の建物が建築出来るエリア。 そこに、これから高齢化を迎えようとする家族の建替という事で始まった家づくり。 当然のことながら1階に主たる部屋や水回りを配置することが望まれますが、立地条件から 1階に日差しを差し込むことが難しい場所でした。そこで「家づくりで考えたこと」 ◯吹抜を設け1階に日差しを送り込める空間を設ける◯1階から2階吹き抜けの窓を眺めると青空が見えるように◯冷暖房の観点から、空気集熱式ソーラーを導入して自然熱で暖房(吹抜がより効果を発揮)する。◯吹抜にある窓の開け閉め、そして掃除がしやすいように、すのこ廊下でメンテナンス。◯吹抜に階段を設けることで通常よりも広い幅にすることができる。(将来介助用昇降機も可) ◯1階リビングの窓は大きな開口として、秋春分時には光と風を存分に取り込めるように。◯連続する和室は「明」と「暗」といいますか、明るさの差をつけ落ち着ける空間に そのような主たる部屋リビングをより快適にするために以上の様な考えを基にプランニングしました。◯このような居場所も「階段下ワークスペース」 階段の下を収納にすることもできますが、このようにストリップ型の階段にすることで吹抜からの光や南面の窓から通風性も確保でき、一つの居場所としても十分利用できます。収納を多く取りたいかたも多いですがこのような利用方法もあるのだと言うことも知っておくと良いでしょう。意外と心地よいですから・・・笑◯「和室にソファーがあったっていいじゃない」 こちらはリビングに連続する和室。部屋の正面には地窓と呼ばれる少し低い位置に窓が取り付いています。なぜ地窓?。丁度この位置に大きな窓を設けてしまうと隣接宅との視界がゴッツンコします。あえて低い窓にして視線が合わないように、そのような工夫がされています。 今後年老いてくると、和室に直に座ることが少しづつ辛くなってきます。そこであえて、和室にソファーを置く計画としました。正しく第二のリビングでもあります。また、直に座る目線と、ソファーに座る目線。様々な角度からこの地窓を眺めることで、少し違った居心地と落ち着きを感じる事ができるのですね。少しのことですが、、空間の感じ方は微妙な違いで変わるものです。 ◯「天地居」の意味「天」をのぞむかのように見上げ、光と風を注ぐ吹き抜け。「地」をのぞむかのように見下げ、地窓から見える紅葉などの植栽は心を落ち着かせます。「居」天と地から居心地と居場所を確保したすまいこのように立地条件と家族の暮らし方の答えからつけたネーミングが「天地居」その名に相応しい住まいになることができました。完成してしまうと何でもないように見えますが、奥深い意味合いのもと設計した住宅です。木の家は夜の佇まいもとても綺麗ですね。 以上「天地居」を設計する上で考えた事です。 「天地居」東京都西東京市 認定長期優良住宅所得住宅 隊長
2017.08.13(日)