「困ってない空き家」が生まれ変わって人気の街に

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陸の孤島?世田谷のミッドエリアを走る世田谷線

東京で一番面積と人口が多い世田谷区。
成城・深沢などの高級住宅地があったり、デパートが集まる二子玉川
芝居のまち・下北沢など、有名なエリアはあります。
世田谷区は「東急ゾーン(田園都市線・東横線)」と「小田急・京王線ゾーン」がありますが、その二つをつなぐ「東急世田谷線」という短い電車が走っているのはご存じですか?
世田谷線は三軒茶屋から下高井戸までの5キロ、わずか10駅を18分で結ぶ。今や都電荒川線と2線のみとなった、東京の路面電車です。
のどかな路線で、利用する人もそれほど多くない地元の路線。

東急と小田急、環七と環八に挟まれたこのゾーン、人によっては「陸の孤島」と呼びます。

 

先日、この路線の真ん中くらいにある「松陰神社」駅に行くことがありました。

以前いったときの印象は、にぎやかな商店街がある町で、八百屋さんやお肉屋さん、おでんタネを売っているお店なんかがあってローカルな味わい。

 

↓前はこういう昭和なマーケットが残っていました(在りし日の共悦マーケット

そして、今回いってびっくり。「おしゃれー!」

ローストコーヒーを出すお店や、こだわりのパン屋さん、おしゃれなアイテムがそろう古本屋バナナトーストが自慢のカフェ・・・。

その隣には、昔ながらの八百屋さん、中華やさんなど、古さと新しさがまぜこぜになっています

 

仕掛け人がかたる「困っていない空き家」問題

少し以前の記事ですが、松陰神社に起きた変化について、面白い記事がありました

今、松陰神社前が面白い。人のつながりが街を変えていく街づくりの方法
https://www.homes.co.jp/cont/press/rent/rent_00309/

 

  • 駅前にまた一つ「松陰PLAT」という新たな建物が生まれた。線路に沿ってベンチを兼用した階段が広がる気持ちの良い建物は、アトリエやカフェ、雑貨店など小商いのお店が8店舗入っている。
  • 取り組みをしている地元で不動産業などを営む「松陰会舘」の常務取締役の佐藤芳秋さんは生まれた時からこの街で過ごし、この街とともに成長してきた。
  • 何故いち企業が街づくりに取り組むのか?
  • この街でもやはり「空き家」が課題としてあった。それも「困っていない空き家」。芳秋さんはそこに危機感を抱いていた。
  • 原因の一つは世代交代だ。初代、二代目が商売をやめた後に後継者がおらず、そのまま閉じてしまい、数年前からシャッターがちらほらと見られるようになった。
  • 経済的に困っているわけでもなく、手放す気もない。建物をなくすと税金があがる。それらの理由でそのまま残っている。
  • さらに、最近このエリアが注目されたことで家賃帯が上がってきており、家賃収入を見込んでの建替が起こっている。
  • それによって、かつては職人や八百屋さんなど街に根ざした商売が多かったが、今はその仕事内容も変わってきている。これからの世代を作っていく子供達にとって、街に多様性がなくなることを危惧していた。

 

  • 「ソフト面が大事」「この街の良さは人のつながり」と取材中、何度も芳秋さんは繰り返した。
  • 古くなった建物を単純に建て替えるといったハードの改修はコストが高くなり、街の機能も変わっていく。ハード面だけではなく、街にどんな機能が必要か、どんな人に働いてもらいたいか、どんな人に暮らしてもらいたいか、というソフト面、その両面で考える必要があるのだと。

 

  • だから、大家さんのリテラシー向上も必要だと言う。個人商店を経営して、自分が引退した後もまた若い人を応援してあげられる、そんな気概をこの街の良さとして引き継いでいきたい。
  • これらの課題を解決するためにも、松陰神社前にはテーマが必要ではないかと「まだ固まっていないけど」と前置きして「その一つが”商売”や”小商い”なんじゃないかな。それができると面白いな」と話す。
  • アイデアの一つとして「困っていない空き家」に対して、この街で商売したい人のリストを作り、空いている店舗とマッチングしていく。空き家バンクの逆バージョンだ。そしてそれは単純な店舗のマッチングではなく、元々あった商売を変えずにその商店を継ぐようにする。
  • 商店街として「どんな機能=人」が必要なのか。空き家という建物を継ぐのではなく、機能を継いでくれる人が必要だ。機能と人を結びつけながら小商いの街としてこの街を活かしていきたいと、芳秋さんは考えている。
  • 実際に、人気の焼き菓子屋さん「MERCI BAKE(メルシーベイク)」は和菓子屋さんの跡地に、街の機能を継ぐという形でその場所で始めることにしたエピソードもある。

 

気になる以上・問題未満の「空き家」

今、「空き家」というとすぐに「問題」という言葉がくっつき、過疎化や都市の再生のように非常に大きくとらえられます。

しかし、東京に住んでいると過疎化という言葉にはピンとこないような気がします。でも、「空き家」については、なんとなく気になりませんか?

例えば、毎日の中でふと気になる、しばらくしまったままのシャッターの建物や、個人でやっていたお店が駐車場になったまま、のような景色。

「問題」というほどではないけど、なんか気になる・・・
松陰神社では、このなんか気になるを地元の若者の発想から徐々に変わり、いまや人気のスポットに。

街のポテンシャルを引継ぎ、次世代にバトンを渡していく。
東京的な「空き家」へのアプローチだと思います。

人気の世田谷でも、もともと陸の孤島と言われた場所。それがこうやって人気になるのですから、理想的といえるのではないでしょうか?

 

バナナトーストと中学生女子

そもそも、松陰神社には、その先の三軒茶屋まで「娘のスマホデビュー」という重大ミッションの途中で立ち寄りました。

一緒にいた中2の娘に、「人気のバナナトースト、食べる?」と聞いたのですが、「今度、友だちと来るから」と断られてしましました。

ちょっと食べてみたかった、バナナトースト。おじさん一人で入るにはハードル高めでした

インスタから画像だけお借りします

 

 

広報 吉松

 

 

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